Album
Hazel Eyes
2026ポップ · ミュージック
「隅々まで愛が織り込まれている」とポップスターが語る、5作目のアルバム。
Tracks
- 13:42
- 23:53
- 34:23
- 43:50
- 53:06
- 64:52
- 71:54
- 82:30
- 93:32
- 104:51
- 114:29
- 124:30
About this album
2012年にディスクロージャーとコラボレーションし、その天まで届くようなテナーボイスを世界に知らしめた「ラッチ」以降、サム・スミスを取り巻く状況は大きく変わった。2015年にはアンセムとなったバラード「Stay With Me」でグラミー賞を、2016年にはジェームス・ボンドのテーマ曲「Writing's On the Wall」でオスカーを受賞した後、2019年にはノンバイナリーであることをカミングアウトし、情熱的な恋に落ち、婚約も果たした。しかし、スミスをあらゆる抑制から解放し、『Hazel Eyes』という5作目にして最も「自由になった」と言うアルバムの制作を可能にしたのは、2022年にチャートの頂点に立ったキム・ペトラスとのデュエット曲「Unholy」だった。
「音楽的には、かなりの難産だった」と、スミスは「Unholy」とそれに続くアルバム『Gloria』がもたらした天啓についてApple Musicに語る。「『Hazel Eyes』は、その後で起きた反応なんだ。『ああ、やっと自分の歌が歌える。本当にやりたいことができる』って感じで、自分らしくいても安全だと思えるようになった」
しかし、『Hazel Eyes』のサウンドは、大ヒットした「Unholy」とはまったく異なるものだ。アコースティックギターのストローク、ピアノの単音と余韻を残すエレキギターが奏でるメロディ、そして喜びに満ちたクワイアへと高まっていく柔らかな歌声。そうしたすべてが、スミスの愛の深さを証明する全12曲の中に溶け込んでいる。「My Guy」で愛の宣言を熱く歌い上げる時も、「Sugar Rush」でドゥーワップを楽しんでいる時も、そしてひそやかな声で涙を誘うラスト曲「To Be Free」でも、その歌声が力強さと純粋さを失うことはない。
「このアルバムには隅々にまで愛が織り込まれている」と、スミスは言う。「クィアな愛、ノンバイナリーの愛。自分にとって、それは世界の表舞台では決して見られないものだった。それで、このアルバムには少し古風な雰囲気を持たせたかった。そしてこの地球上で、この古くて美しく、時代を超越していて、でもどこか劇的なほど超越してしまっているような“サウンド”をまとって、オープンに愛を表現している」
スミスは、長年の友人でありメンターでもあるプロデューサーのサイモン・アルドレッドをはじめとするコラボレーターたちとの「美しく小さな安心できる居場所」と、音楽業界で初めて出会ったゲイの男性たちが、恋愛の過程を歌う上で、これまでにない弱さを見せるためのスペースを与えてくれたことに感謝している。スミスは婚約者と共に、末永く続く幸せな未来を思い描いているが、だからといって『Hazel Eyes』に緊張や痛みがまったく見られないわけではない。
例えば、「Thief」では遠距離恋愛における裏切りをほのめかす、くすぶるような対立が描かれているが、この曲はスミスにとってアーティストとしての最大の挑戦となり、同時に突破口にもなった。
「一番難しかったのは、暗闇の中に愛を見出すことだった。恋愛には痛みを伴うつらい時期もあって、そんなときには愛があるなんて思えなくなってしまうから」と、スミスは言う。「『Thief』をアルバムに入れるつもりはなかった。曲作りのセッションは厳しいもので、感覚が麻痺してしまうほどつらかった。でも、あの曲を書いた直後に、救いが必要になって、『確かにとんでもないことが起きたけど、自分はまだ恋をしていて、幸せなんだ』って思えるようになった。そうして書いたのが『Love Is A Stillness』だった。アルバムに収録されているのは、まさに『Thief』を作った直後に、自宅のガレージでレコーディングしたものだ。ひどく暗い嵐の中から、最初に降り注ぐ太陽の光を表現できた。それこそが、自分にとっての愛なんだ」
これは『Hazel Eyes』がスミスに教えてくれた、最も心に残る教訓の一つだった。つまり、長く続く愛であれ、心に響く歌であれ、良いものは決して簡単には手に入らないということだ。「恋に落ちてしまったら、悲しみやメランコリーといった、自分が音楽において大事にしてきたものと無縁になってしまうんじゃないかと思っていた」と、スミスは言う。「でも実際は、今の方がそれをもっと強烈に表現できる。なぜなら、今は愛を通して以前よりも深いものを感じられるようになったと思うから。すべてが完璧でないといけないと思っていたけど、本当は誰かと一緒に困難なことを乗り越えていくことこそが大切なんだ。それを乗り越えた先には、何にも代えがたいものが待っている」